47人が本棚に入れています
本棚に追加
その日は母親の遺骨と共に帰宅した。
最後まで心配してくれた森さんも、部屋に小さく作られた祭壇の母に線香をあげてくれて、困った事があったらいつでも連絡しなさいと言って帰って行った。
祭壇の前でもずっと俺の手を握っていた悠里が、泣き寝入りして眠ってしまった。
その場で毛布を掛けてそっと手を離す。
俺の中では、先程聞いた叔父の話がグルグルと廻っていた。
幼い頃、叔父の家に預けられていた悠里に何があったのか。
漠然と知っていた様な気はする。あの時久しぶりに再会した妹は、ガリガリに痩せていてまるで赤ん坊の様に何も出来なくなっていた。
ただ、俺を見つけて泣いていた。「おにいちゃんどこにいたの」と。
そして俺は今日、その意味を知った。
「悠里、兄ちゃんが仇を取ってやる」
眠っている妹の頭をそっと撫でて、俺は家を出た。
最初のコメントを投稿しよう!