act.4 信頼

9/13
前へ
/56ページ
次へ
   嫌な予感は当たるもので、その時はいきなりやって来た。  期末試験も間近なその日、夕暮れの家までの田んぼ道をいつもの様に一人で歩いていた時だ。そこにいきなり、出雲の色の濃い方の親父さんが俺の前に立ちはだかる。 『あの子の所に行ってくれ!!早くっ!!』  え!?何事だ?親父さんの様子が変だった、もの凄く焦っている。 『早く!!』 「はい!」  出雲もさっき自転車で帰った所だ、ここからなら俺の家はすぐそこだ、思わずダッシュする。  俺の頭の中に出雲が何かやらかしそうなイメージが流れ込んでくる。具体的にはよく分からないけど早く行かなけりゃ!!  俺はとにかく急いで自分の家に向かった。 「お兄ちゃんお帰り」 「出雲の家に行く!!」 「え、なにかあったの?」  悠里の問いに答えもせずに、上着とヘルメット、ライダーグローブを引っ掴んでアパートの駐輪場に下りる。  親父さんはもういない、出雲の所に戻ったな。  バイクのエンジンを掛け、俺は夕暮れの町へと走り出した。 e4bead34-0cf9-4f04-b31e-273cd950256e
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

47人が本棚に入れています
本棚に追加