47人が本棚に入れています
本棚に追加
嫌な予感は当たるもので、その時はいきなりやって来た。
期末試験も間近なその日、夕暮れの家までの田んぼ道をいつもの様に一人で歩いていた時だ。そこにいきなり、出雲の色の濃い方の親父さんが俺の前に立ちはだかる。
『あの子の所に行ってくれ!!早くっ!!』
え!?何事だ?親父さんの様子が変だった、もの凄く焦っている。
『早く!!』
「はい!」
出雲もさっき自転車で帰った所だ、ここからなら俺の家はすぐそこだ、思わずダッシュする。
俺の頭の中に出雲が何かやらかしそうなイメージが流れ込んでくる。具体的にはよく分からないけど早く行かなけりゃ!!
俺はとにかく急いで自分の家に向かった。
「お兄ちゃんお帰り」
「出雲の家に行く!!」
「え、なにかあったの?」
悠里の問いに答えもせずに、上着とヘルメット、ライダーグローブを引っ掴んでアパートの駐輪場に下りる。
親父さんはもういない、出雲の所に戻ったな。
バイクのエンジンを掛け、俺は夕暮れの町へと走り出した。
最初のコメントを投稿しよう!