落ちる女

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 大学二年生の相田脩介(あいだしゅうすけ)は、都内の古いマンションで一人暮らしをしている。親からの仕送りだけでは家賃と学費でぎりぎりなので、自分でもバイトをしている。サークルには一応入っているが、そんな状態だからろくに参加する余裕がない。学校に行ってバイトに向かい、帰ってくると風呂に入る。短い入浴のあと、買ってきた夕飯を食べる。それが脩介の毎日だった。  明日も早い、もう寝ようと思ったそのときだった。  ふっと気配を感じた。なんとなく眺めていたテレビから目を離し、窓のほうを向いた。そのとき、目の端に入った時計が〇時二十三分を指していたのを、今でも覚えている。  ベランダに面した大きな窓は、カーテンを開けていた。外は、少し靄のかかったような闇が広がっていて、ぼんやりと明るい。  その中に突然、見慣れないものが現れた。白い大きなそれは、上からゆっくりと落ちてきた。  それは女だった。逆さになった一人の女が、まるでばんざいをしているように両手を下に向けて、窓の外を落ちている。ゆっくり、ゆっくりと、窓一面を覆うように。  脩介は目を見開いた。
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