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私は、キョトンとした。お店に入るのに体格検査でもあるのだろうかと。
「風俗店には、高級店、中級店、大衆店ってあって、高級店には、モデルさんみたいな人ばかりいるの。身長が高くないと指名が取れない。私がいるのは、中級店。貰えるお金が、お店のランクで全然違うのよ。」
男にさえ騙されなければ、今頃、どんな幸せな生活をしていたんだろうかと思うと、騙した男が憎くて憎くて仕方がない。
ふと、時計を見ると、もう、昼休憩は終わる時間だった。
私は、自分の名前と電話番号と住所を紙に書いた。
「小林さん、これ。
私の本当の名前は、二階堂真也。
小林さんが自分の秘密を教えてくれたから、私も自分の秘密を打ち明けた。これで、おあいこ。
桐生は、偽名だ。
携帯電話は持ってないんだ。
夜でも話したいことがあったら、ここに電話して。私以外の人が出ることもあるけど、何か私のことを聞かれたら、正直に答えてね。」
私は、笑顔で紙を渡した。彼女はキョトンとしていた。他の人が電話に出るかもという意味がわからないのだろう。独身一人暮らしと自己紹介したのだから。
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