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私は勤務時間を計算して、1日17時間労働ということに驚いた。
「鬼出勤って言うんだ。」
「そう、風俗店では、鬼出勤って言うの。
鬼出勤してると、疲れててサービス悪いと敬遠されたりして、最近辛くなってきた。
誰か風俗とは関係ない人と話したくなって、でも、ベタベタとくっついてくる人も嫌で、それで、ここで働いてみた。
私、桐生さんに会えて、本当に幸せ。これからも話し相手になってね。絶対ね。ずっとね。」
私は、一瞬、微笑んだが、すぐに顔を歪ませた。
「いや、借金地獄から抜け出せばいいだけだろ。金さえ返せば、私とも縁が切れる。あと、いくらなんだ?」
「やっとで600万円きったんだよ。桐生さん、払ってくれるの?」
悪戯っぽく笑う彼女は、私の返事を知っている。
「そんなお金、あるわけないだろ。」
「知ってるよ〜。貧乏生活の師匠!」そう言ってケラケラ笑う彼女を見て、頬が緩む。
「次のお店、いいとこあるの?」
それが心配だった。実入りのいい店があるといいのだがと。
「高級店で稼げたらいいけどね〜。身長が足りないんだよね。」
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