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「桐生さん、今日から一緒に働く小林雪乃さん。色々教えてあげてね。」
朝の仕事始めの時間だった。
工場ではすでに作業が始まっていた。
ガチャガチャ、ガンガン、と音が響いていて、多くの人たちが、生産ラインで働いている。
工場長からそう紹介されたのは、歳の頃なら30前後で、背は150センチくらいのかわいらしい女性。
「よろしくお願いします。」
満面の笑顔で、勢いよくペコリと頭を下げる。
私は、その姿に違和感を覚えた。
今日、新入りが来ると言われて、持ち場で待っていた。どうせ、また、スレたガキが来るものと思っていた。
私は、淡々と仕事内容を説明する。
2名1組で消火器の蓋の部分に10点の部品を取り付ける仕事。
「Aパート担当とBパート担当で作業します。」
「はい!」
「まず、Aパートの人が、この部品をBパートの人に渡し、Bパートの人が、ここにねじ込みます。ちょっと、コツが要ります。」
「はい! コツと言いますと、どのようにすればいいのでしょうか?」
「いきなり、ねじ込もうとするとうまく入らないので、まず、当てたまま反対方向にゆっくり回し、カチッとしたところでねじ込みます。」
「ありがとうございます。わかりました。」
聞く時には、ニコニコし、小首を傾げるオーバーアクション。
私が答え終わると、うんうんと目線を合わせたまま顔を縦に振る彼女。
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