0人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
まあ確かに足腰には自信あるけどさあ。
「大丈夫だって断言されるほど鉄人ではないんだぞ」
軽口を叩きながら来た道を取って返す。
ばさばさと羽ばたく音がさっきより増えている。夕方近くになって、皆ねぐらに帰ってきているのだろう。
からすが鳴いたらなんとやらだ。
不意に聞き覚えのあるぶきっちょな鳴き声がしたような気がした。
あいつも帰ってきたのかな。
なんて考えていたのも束の間、俄に異変に気付く。
「なんだ…?」
いつも通りの鳴き声に聞こえる。けれど、うまく表現出来ないが、…なんだか、焦っているような、急かしているような…。
誰かを呼んでいる?
まさか、助けを呼んでいるのか…?
思い至った時、私の脚は進んでいた方向とは違う方を向いていた。鳴き声のする方へ向かう。早足だったのが、駆け足になったのは直ぐだ。
寄り道をして上司にバレたらまたどやされる?
バレなきゃいいんだよ!
最初のコメントを投稿しよう!