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プロローグ
重いカーテンが窓を覆いつくし、真っ暗な部屋。狭くてゴミが散乱しているため、刺激臭が鼻をつく。すぐ目の前に転がっているスタンガンを見て、先ほど車に連れ込まれたことを思い出し、ようやく頭がはっきりしてきた。動かせない体は服を脱がされて全裸の状態で、手足を縄で縛られている。そしてズルズル、ズルズル…と床を擦るのはあの男が近付く足音だった。
「おはよう」
その音が目の前で止まると、鼻息混じりの太い声が聞こえてきた。見上げると、目の前には巨体が私を見下ろしていた。
咄嗟に身をよじったけれど、硬く縛られた手足はビクともしない。
「良い子にしててね」
そう言って男が私に見せたのはピンクのリモコン。それを押した瞬間、下半身に快楽が訪れる。それがローターだと確信したころには男の姿は部屋にはなかった。どれだけ悶えても止まることのない快楽にいつの間にか意識を失っていた。
ドッ!!
頬に激痛が走り目を開けると、拳を握りしめた男がニヤニヤしていた。
「気持ち良さそうだったから殴っちゃった。ごめんね」
そう言った男は、全裸で私の前にしゃがみこむ。必死に叫ぼうとする私の顔をもう一度殴ると、男はナイフを取り出した。
「楽しみはこれからなんだから」
鳥肌が立ったその瞬間、そのナイフの刃先が私の腕の上を滑る。ツーッ…と溢れ出した血を見て男は勃起した。
「すごいよ、綺麗だ」
狂ったように笑いながら、今度は太もも、肩を同じように切っていく。それと同時に男は自分の下半身をしごき始めた。そして私の胸元を切ったとき、下半身を私の口の中に押し込み射精した。
「飲め」
頬にナイフを突きつけられ、口いっぱいに溜まった精液を飲みこまされた。熱いドロドロ液体が食道から胃へと流れ込んでいく。
満足した男は今度は私の腹に先程より深くナイフを滑らせた。そして今度は自分の下半身を私の体に擦り付け始め、ニヤッと気味悪く笑うとサクッ…とナイフを何のためらいもなく私の腹に刺した。腹に刺さったナイフを見て男は再び射精した。
「美しい、美しい」
狂ったように叫ぶと一気に自分のペニスを私の中に挿入し、激しく突く。意識が朦朧とする中、男の荒い息と打ちつけるペニスの音だけが部屋に響き渡る。そのまま何時間そうしていたか分からない。
男が果てて眠ったのを確認して私は最後の力を振り絞った。
部屋の隅に無造作に置かれた私の鞄まで、体をよじらせてなんとかたどり着くと、鞄の中に頭を突っ込みスマホを口に加えた。鼻先で必死に110番を押し、小声で助けを求め恐怖で体が震えながら助けを待った。体についた精液の匂いと刺された腹から流れる血はまさに悪夢で、その時まだ13歳だった私にとって人生を大きく左右される出来事だった。
悪夢はそれだけで収まらない。
事件当時在学していた中学校では私の事件が有名になりすぎて居られなくなってしまった。そして引っ越して転校した中学校から大学までは女子だけの環境で過ごしてきた。
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