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謝りたくないわけじゃない。
申し訳なく思ってないわけでもない。
だけど、この台詞を口から転がそうとしても、どうしても出てこない。
原因は分かっている。ある種のトラウマだ。
でも、そんなこと、もっと言えるわけない。
だから今日もわたしは、喉の奥に張り付いたこの言葉を、どうにか押し出そうとして自分の唇と悪戦苦闘を繰り広げている。
……繰り広げること30分。
ウルトラマンなら10体必要だ。
お気に入りの白いベッドカバーの上で体育座りをしたわたしの横には、眉を下げて困り顔で微笑む、わたしの彼氏。
30分間無言のままでも、嫌な顔ひとつせずに微笑み続けている。
ウルトラマンの10000倍すごい。
桁が少しばかり多いことからも分かるように、わたしは彼氏のことが大好きである。
うん、もう、大好きどころでは語りきれない、もはや推している。尊くて堪らない。
推ししか勝たん、とか言ってみる。アラサーだけど。
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