死神の仕事

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 *  「アルベルトさん、また内線432です。至急誰かを行かせてくれ、とのことですが……リーダーの貴方が話したほうが早いと思って。」  「は? 432って……自殺課だよな?」  頷いた部下を横目に、小さく息をつく。  自分がいるのは、死神の仕事を色々な奴に割り振る、統括課という場所。統括課と言われても、そこまで暇じゃない。  この世では、秒単位で人が生まれ、それと同時に秒単位で人が死んでいる。それに自殺ともなれば、必ず地獄行き。天国へ行くことは叶わないだろう。  そんな人達の話を聞き、しっかりと黄泉の国へ行ってもらう。迎えの死神で無理ならば、傾聴課という場所に連れて行く。  統括課にとって、一番厄介だと言われるのが、内線432……自殺課からの連絡だった。  「俺だ。どうした?」  『アルか、いい奴が出てくれた。日本の山間で自殺、首吊り。かなりの山奥のおかげで、魂が彷徨い続けてる。ようやく見つけたが、もはや死んでから大分経ってる。』  電話の向こうにいるのは、同期のレイルという男性。自ら自殺課に志願した物好きだ。  「はぁ……レイ、お前今時間あるか。」  『あるが……お前、まさか俺を巻き込んで一緒に迎えに行こうとか、そんなこと考えてないよな?』  ふっと電話口で笑った。  「そのまさか、だよ。レイル・アスラン・タナトス、くん?」  わざわざ本名で呼ぶな馬鹿、という言葉を最後に、電話が切れた。生者の国へ行く入口へ行かなくては。
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