Scene01 終焉の魔王

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「終焉なるままに。  全てなる愚かなるものに死を」 小柄な女性がそう言って小さく笑う。 するとその世界に小さな稲妻が落ちる。 地面についた稲妻は唸るように地面を這いつくばる。 そして全てを燃やした。 その稲妻は灰さえも燃やした。 「クスクス。  燃えた燃えた炎さえも燃えた。  粛清!大成功!」 女性は嬉しそうに。 楽しそうに笑った。 「燃え弾けろ!  カリュドーンの猪!」 女性のその言葉とともにその稲妻は弾けました。 悲鳴。 絶望。 恐怖。 全ての感情が無になる。 それが死。 その日、その瞬間。 全てが消えた。 街がひとつ消えた。 「サヨナラには遅かったかもね」 死はすべての存在に訪れる。 しかしそれが訪れない存在がいた。 ――テオス 「無限なる命を器のないものに与えればどうなるかわかる?」 フリルのドレスを着た女性が小さく笑う。 「命は消えるのよ」 上品な貴婦人が小さく言った。 「……いい感じで死んだね」 フリルのドレスを着た女性の表情はどこまでも悲しそうだった。 「あー、あれだな。  何人か拐っておけばよかったな」 人面犬がそう言ってため息を吐く。 「アースベルガー。  優秀な存在は生き残るはずでしょ?  劣等種を抱いても価値はないよ」 小柄な女性がクスリと笑う。 「ククク。飯の種にはなっただろうに」 人面犬・アースベルガーが小さく笑う。 「次こそはいるといいわね」 「ああ」 「次の標的はエレメント学園よ。  ま、モトフミさまには内緒にしておくので適当に拐って食べてもバレないわよ」 「そうしてくれると助かる。  紫よ、ありがとう」 「いいのよ」 「では、先に行って味見をしてくるとしよう」 アースベルガーはそういって姿を消した。 小柄の女性の名前は紫。 テオスに選ばれし存在である。
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