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Scene02 カリュドーンの猪
助けなきゃ。
少年はいつも思っていた。
でも勇気が出ない。
護らなきゃ。
少年はそのたびに震えていた。
そして、そのたびに自分を責める。
勇気を持て。
勇気を奮い立たせろ。
でも、そんなものは湧いてこない。
「僕は、勇者の子孫だろ……」
そのたびに少年は心のなかで謝っていた。
カナタに謝りたかった。
そんな毎日。
今日もカナタはジルにいじめられている。
でも震えが止まらない。
勇者の子孫だからって強くはない。
自分は弱い存在なんだ。
少年の名前はガブリエル。
弱く震えることしかできない少年。
「よう!カナタ!また会えると思っていたぞ」
「まぁ、学校だからね」
カナタはため息まじりに言った。
「生意気なんだよ!」
ジルはそう言って大剣を手に召喚した。
「……やめ――」
ガブリエルがそう言おうとしたとき世界は明るくなった。
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