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かといってカナタは敵対する気はない。
カナタはこのまま雑魚でいよう。
雑魚のいじめられっ子の存在でいよう。
そう思った。
「貴方はカナタくん?」
少女が小さく首を傾げる。
「そうだけど……」
「あれ?あー、そっか。
私と焔は君とクラスが違うからわかんないよね」
「えっと……」
カナタはどうしたらいいかわからない。
魔王の時代も他者とのコミュニケーションをとることなどなかった。
孤独で最強の魔王。
それがカナタという存在。
「私はシエラ」
「俺は焔」
「……えっと僕はカナタ」
「うん、知ってる」
シエラと焔は笑って答えた。
「さ、カナタくんも一緒にお弁当を食べよう」
「え?でも僕は……
お弁当を持ってないし」
「大丈夫!調理実習でご飯を沢山作ったから!」
シエラはそういってお弁当をかばんから取り出す。
「でも、僕は……」
「ほらカナタくんも食べよ!」
シエラは小さく笑った。
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