Scene01 終焉の魔王

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他者との食事なんてしたことがなかった。 魔王として生を受けて。 魔王として死んだ。 孤独な魔王。 最強の魔王。 そして終焉の魔王。 人からは恐怖され。 魔族からは畏怖される。 魔王として産まれたものの。 部下はいなかった。 ずっとひとりで自分の命を狙うものと戦い。 そして気がつけば最強になっていた。 「いただきます」 カナタは唐揚げをひとつ摘み口の中に入れる。 「どう?美味しい?」 「美味しい」 カナタはニッコリと笑う。 「よかった!」 「こっちの卵焼きも美味いぞ!」 焔はそう言って卵焼きをカナタの皿に置いた。 「美味しい、美味しい、美味しい」 カナタはそう言って涙を流した。 「泣くほどか?」 焔はそう言って優しく微笑んだ。
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