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うちのじいちゃんは鋼太郎のじいちゃんと昔ながらの知り合いで、そこを通じて色々と情報を手に入れた。前にじいちゃんは、和菓子屋の孫が女の子を助けて停学になったと言っていた。
和菓子屋の孫、つまり鋼太郎がなぜ停学になったのか、学校では公になっていないが、家族には隠せなかったらしく、鋼太郎のじいちゃんがうっかりうちのじいちゃんに話したそうだ。
そんなじいちゃんどうしの交友を通じて、俺は鋼太郎のことを大方知っている。
鋼太郎とバンドをやることを伝えたのは、祖父母は恭弥のやりたい事に対して、理解を示してくれていることが理由の一つだった。
勉強がおろそかになっていても、怒られたことがない。
好きな事なら本気でやりなさいと背中を押してくれる。弁当を毎日作ってもらったりと甘えているが、お金が足らないなら出すとまで言った時は、さすがにそこまで支援してもらうのは悪いと思ったので断った。
じいちゃんはおしゃべりな人ではない。会話は短かく続かない。
伝えることだけ伝えて、あとは無言のまま、朝食を食べ続ける。俺が食べきるまで、そう時間はかからなかった。
「ご馳走様でした」
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