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お皿を片付け、歯を磨く。学校に行く準備は整った。いざ学校へ、と荷物に手をかけたとき、
「待って、恭也。お弁当と、仏壇。忘れてない?」
「あ、忘れてた」
ばあちゃんに言われて思い出す。
荷物はそのまま置き、バタバタと移動して、仏壇の前に座った。
仏壇にはいつも色鮮やかな花が左右の花瓶に飾られている。そしてその中には二枚の写真。そこに笑顔で写っているのは俺の両親だ。
物心つく前に死んだから、母さんの記憶はあんまりない。だけど少し前に死んだ親父のことはよく覚えている。
行ってきますの意を込め、リンを鳴らし、手を合わせる。これが毎日の日課になったのは三年前からだ。どんなに忙しくても、必ずやりなさいとばあちゃんに言われている。
――母さん、親父。俺、軽音楽部作るよ。頑張るから。じゃあ、行ってきます。
簡単ではあるが、昨日の報告をして立ち上がる。
そしてばあちゃんが作った弁当をバッグに入れた。
今度こそ忘れたことはもうない。
「んじゃ、行ってきまーす」
落ち着いた家に低い声が響いた。
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