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「ちょっと戻れば良いだけだから、怒るこたねえだろ、気が短えなあ」
「案内は任せろって言ったのはそっちだろ」
「そりゃおめえ年上の俺の言うこときいてりゃ間違いはねえのよ」
後部座席の神川先生は熟睡している。先生が起きている時にはもう少し真面目に仕事をしているが、先生が寝るとすぐこれだ。
呆れながら田舎の広い道をUターンし、間違った道まで戻る。
九条 信嗣。こいつは本当にいい加減なやつだ。仕事については広く浅く、なんでも「できます」というタイプ。反面俺は式神を使役することに特化したタイプで根っから相性が合わない。同じ神川先生に師事していなければ一生関わりたくないタイプの人間だ。
そもそも初対面の時、俺の方が三年早く仕事をしている兄弟子にも関わらず、年下というだけでタメ口だし命令口調になるし最低だった。式神も使えるが中途半端で調伏はまあマシって感じなのに式神使役の修行も「進が式神の使役が得意なら俺がやる必要ねえじゃん、よろしく頼むわ」と真面目にやっていない上、ことあるごとに俺に仕事を押しつけてくる。何より気に入らないのは神川先生がそれを良しとしていることだ。
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