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僕らの服装は簡易な和服だ。正直洋装でも仕事に全く支障はないのだが、客先への心証があるので和服で行くことにしている。そんな俺らを見るこの家の使用人の眼差しは安堵であったり疑心であったり様々だ。この反応にも慣れている。なんせこちとらこの家業に十三年、小学校卒業と同時についているのだから。
客間に通されると、そこは汗ばむくらい暖房が効いていたので失礼して羽織を脱ぐ。ソファに座ると先程の使用人が暖かい日本茶を運んできて、夫人から話が始まった。
「どうも遠いところをご足労いただいて申し訳ありません。
お電話でお話しした通り、娘の美佐子の件でご依頼申し上げました。私は美佐子の母、頼子でございます。」
「私は美佐子の父の洋二と申します」
夫である洋二も頼子ほどではないが憔悴している様子だ。
俺たちは二〇二一年の今になっても、ホームページを持たなければ広告の類も一切出していない。大体、似たような稼業の仲間からの紹介で依頼につながることが多い。それでも上等な着物と高級車を買える程度には儲かっている。何故なら仲間が処理できなさそうな案件を高額で請け負っているからだ。
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