アクロバティック暗殺者は情に漬け込む

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日中とは違い手先がかじかむような寒さの真っ暗な夜。 コンビニから帰る途中だった男は不意に上を見上げた。 「ん?」 そのまま目を凝らして真っ暗な空を覗いていると、男はあることに気づく。 近くのビルの屋上に少女が一人、立っているのだ。 屋上柵の上に立っている少女は今にも飛び降りてしまいそうである。 気づけは男はビルの下へと走り出していた。 もちろん、もしもの事(飛び降り)が起こった時に、少女を助けるためである。 そして、男が肩で息をしながらビルにたどり着いたその瞬間。 案の定、もしもの事は起こった。 ビルというだけのことはあり、案外高さがある。 自分がけがをする覚悟もしつつ、男は手を広げ少女を受け止める体制になった。 頭から落ちてくる少女は、みるみる男へと近づいて行く…。 「任務完了、そっちに戻るね。全く、人を一人殺めといて飛び降りようとしている少女は助けるなんて。一体全体どういうことなんだろうね」 「さあな。それよりも、まだあと3つあるんだ。早く戻って来いよ」 「わかってる」 そういってワイヤレスイヤホンの電源を切った少女は、クナイの刺さった死体の処理を他に任せ、颯爽と闇夜に姿を消した。
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