2-8 新生活の朝

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2-8 新生活の朝

「――イザホ、イザホ、もう朝だよ?」  まぶたを開けると、ウサギのマウがワタシの顔をのぞいていた。  服はパジャマに、頭にはナイトキャップを被っている。  電気は付いてないのに明るいから、マウの言うとおりにもう朝みたい。起きなきゃ。  体を起こした時、ふと、違和感を感じた。 「……イザホ?」  ……ここ、お屋敷じゃない。ここはどこなの?  周りを見渡しても、白い壁に家具が置かれている、知らない寝室だった。  いつも目覚めたら、お屋敷にあるワタシたちの寝室だったのに…… 「ねえ、イザホ……まるで知らない部屋にいるように周りを見渡しているけど……ボクたち、引っ越してきたんだよ?」  ……あ、そうだった。  ワタシたちはお母さまのお屋敷から離れて、ふたり暮らしをするためにこの鳥羽差市に引っ越してきたんだった。 「それにしても、さっきからうなされているみたいな寝相だったから、つい起こしちゃったけど……もしかして、夢を見ていた?」  夢……?  そういえば、さっきの光景……人間が見る夢っていうものに近かったかな……  この鳥羽差市にやって来た直前に見た光景も、夢として考えるとしっくりくる。  ちょっと、夢の内容をマウに伝えてみようかな。  ワタシにはマウのような声帯がないから、スマホの紋章で文字を入力しないとね。
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