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・イザホのメモ(10ページ更新)
【https://estar.jp/novels/25875424/viewer?page=37&preview=1】
玄関の前に立って、画用紙を受け取る前に扉のノブを引っ張ってみる……ビクともしない。まるですごい力で扉を固定しているみたい。
扉の隙間をのぞいていたマウがワタシの足をつつく。
「……この人、ボクたちの姿を見てすぐに逃げちゃった人だよ」
……ローブを着た人だ。喫茶店セイラムの前で、ワタシたちの姿を見て逃げ帰った人……
「イザホ、それでも受け取ってみる?」
この人は、何か目的がある。
もしかしたら、あの店長さんがいなくなったから、この画用紙を渡してきたかもしれない。
それなら……ここで受け取ってみよう。なにか困っていたとしたら、力になれるかもしれない。
困った人がいたら、手を差し伸べて上げて……お母さまにそう言われている。
……
受け取った画用紙を広げてみると、そこには大きな紋章が書いてあった。
いや、埋め込まれていた、の方が正しいかな? その紋章は左に向いた羊の頭の形をしていて、ワタシの左手のスマホの紋章のように、緑色に輝いていた……
!!
ローブを着た人が、いきなりワタシの左腕をつかんだ。
「!! イザホに何するの!?」
マウが叫んだ直後、ローブを着た人はワタシの左腕を画用紙ごと地面に向けて、たたきつけた。
画用紙に埋め込まれた紋章にワタシの左手が触れて、緑色から青色へと変わる。
!! 体が……左手からゆっくりと……
紋章に吸い込まれていく!!
「イザホッ!!」
マウがワタシの右足にしがみついた感触がした瞬間、
目の前が真っ白になった。
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