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・イザホのメモ(15ページ更新)
【https://estar.jp/novels/25875424/viewer?page=39&preview=1】
小屋の扉を開けると、ギギギとこすれるような音が響き渡った。
小屋の室内には明かりが一切なく、玄関はたくさんの段ボール箱が壁際に奇麗に並べられていた。
「散らかっているのか、整頓好きなのか、よくわからないなあ」
マウは段ボール箱の中をのぞこうと背を伸ばしたけれど、一番上の段ボールには届かないみたい。ワタシが一番上の段ボール箱を取って下ろしてあげよう。
段ボール箱を床に下ろして、開けてみたけど、窓からの光がよく届かなかったせいいでよく見えなかった。
だけど、マウは見えていた。だってウサギは夜行性だもの。
「……中身は空だね。きっと、重要なものは中身じゃなくて段ボール箱自体みたいだね。その理由はよくわからないけど」
とりあえず、空の段ボール箱は元の場所に戻しておこうっと……
「あ、待ってイザホ」
段ボールを戻そうとしている時、マウに呼び止められて手を止める。
「うん、今の状況と関係ないけど……段ボールが並べられている場所で段ボールを持っているイザホって、なんだか引っ越しみたいな感覚がしちゃってさ」
引っ越しと段ボールって、関係があるの? 首をかしげてみる。
「いや、なんとなくそんなイメージがあったからつぶやいてみただけ。気にしなくていいよ」
段ボールを元の場所に戻すと、部屋の奥に目を向けた。
部屋の奥には、ホワイトボードのようなものが見える。でも、奥には窓がなくて、ワタシたちの近くにある窓の光も届いていないみたい。
「ねえイザホ、確か、懐中電灯があったよね?」
マウに言われて、思い出した。確か懐中電灯はあそこに入れていたはずだ。
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