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 カロルは、トマトの苗を引き抜いた後の畑をクワで耕していた。  屋敷の中庭には野菜畑があり、今はちょうど夏野菜の終わりの時期である。 「こ、こちらのお屋敷には、野菜畑もあるのですね…」 「ええ。葡萄やリンゴは大規模でやっていますが、こういう小さな畑でお屋敷で食べる分の野菜を作っているんですよ」 「ここが終わったら、向こうの畑もお願いします」  ジュディさんとシルビアさんという中年の二人の女性が、上機嫌でカロルを見守っていた。 (あなたに対する侯爵の心象は良くありません)  さっき、屋敷の周りを案内しながら、クレアがカロルにこう言った。 (30分も遅刻したんですから当然です。少しでも心象を良くするために、力仕事を手伝っていただくというのはいかがでしょうか)  クレアはあくまでも提案という形でこう言ってきたが、カロルに拒否権があるはずもない。
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