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パブロ王国では成人年齢は20歳である。国王家が開く公式行事も、出席は20歳以上とされている。
前エドバルド侯爵は、一人娘であるアリシアの写真などを、成人までメディアには公表しないとしていた。貴族でなくとも、有名人の家庭では、このような方針は珍しくない。
また、20歳を過ぎた後も、アリシアは学生の身分だから勉学にいそしみたいという理由で、侯爵という身分にありながら、レセプションなどの王国の公式行事に出席しなかった。
本人の写真や映像も未公開のままである。
ロイヤルファミリーであれば世間の関心も高いが、辺境地域の一貴族でしかないエドバルド家の当主への注目度など、この程度なのである。
よって、いまだにアリシア・フォン・エドバルド侯爵の顔も性格も、公にはわかっていない。
だが、そんなエドバルド侯爵も、今年の春に大学を卒業した。
国王家では、最も重要な公式行事を、半年後に開催することを決定している。これの決定がなされたのは数か月前だ。
エドバルト公爵は、この公式行事に出席せざるを得ない状況で、これは事の次第によっては、王国内を揺るがす鮮烈なデビューとなる可能性があった。
本人の意思に関係なくである。
カロルは、エドバルド侯爵に直接会いたかった。それには畑を耕すくらい何でもないことだ。
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