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 その後、カロルはもうひとつの畑にクワを入れて、牧場で放牧されている馬を移動させるのを手伝い、厩舎の掃除まで手伝った。  もうとっくに夕方だった。侯爵の屋敷を取り囲むように広がる牧場と、その先の丘にある葡萄とリンゴ畑が夕日で赤く染まっている。  クレアが困った顔をしてカロルの元にやって来た。 「侯爵は今夜はお戻りにならないそうです。いろいろと骨を折っていただいたのが無駄になって申し訳ありません。すぐにお帰りになったほうが…」  カロルはこれに対してきっぱりと宣言した。 「侯爵がお帰りになるまで待たせていただきます」 「出直されたほうがいいと思いますよ。泊まるところもありませんし」  クレアは冷たく言い放ったが、カロルは取り合わなかった。 「町のホテルに行きます」 「今のシーズンはどこも満室です」  侯爵領は、観光も重要な産業である。 「では、車の中で寝ます。野宿したっていい」 「…お好きにどうぞ」  クレアはぷいとどこかに行ってしまったが、しばらく後にジョフがやって来た。
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