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 そして、三日目の朝である。カロルは6時に目を覚ました。  身支度を整えてから庭に出てみると、中年の女性の姿があった。服装からして、メイドや庭師ではなさそうだった。 「おはようございます。前侯爵夫人でいらっしゃいますね?」  カロルが声をかけると、女性はちょっと驚いた表情をしたが、すぐに笑顔になった。 「おはようございます。よく眠れましたか」  カロルは女性の目元に見覚えがあった。 「お陰さまでよく眠れました」  後ろから凛とした声が聞こえた。 「カロルさん、朝食が済んだら少しお時間をいただきたいのですが」  クレアだった。今朝は紺色のワンピースを身に着けている。 「私こそ、お時間をいただけるのをお待ちしておりました。エドバルド侯爵」  カロルの言葉に、クレアは少しの遠慮もなく眉をしかめた。 「いつから気付いていた?」 「お屋敷の人達の雰囲気でなんとなく…。でも、確信したのは、お母様にお会いした時です」  前侯爵夫人は、娘とよく似た目元を細めて、困ったように笑った。 「ごめんなさい。カロルさんに会わないように気を付けてたんだけど…」 「お母様のせいじゃないわ。それではカロルさん、また後で」  クレアはすたすたとどこかに行ってしまった。  ちなみに、クレアという名前は三番目の名前だそうだ。  アリシア・カロリーヌ・クレア・デ・レメディアス・フォン・エドバルド。これが彼女の正式な名前である。
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