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 クレアとカロルは応接室にいた。  カロルが国王家からの親書を手渡すと、それを読んだクレアは不機嫌そうに言った。 「新国王の即位で、私の王位継承順位が5位に上がるって書いてある」  実は、クレアは王位継承権を持っている。クレアの亡くなった祖母は、現在の国王の第二子なのだ。  国王家とエドバルド家は仲が悪かったくせに、クレアの祖父と祖母は恋愛結婚していた。当時は周囲が大反対したという。  パブロ王国では、95歳の現国王が半年後に退位するのだ。  次期国王は、現国王の第一子のグスタフ皇太子で、年齢は74歳である。 「国王家からの親書は確かに受け取りました。でも、本当はこれだけじゃないんでしょ?」  クレアは探るようにカロルを見た。 「恐れ入ります。アンディ王女が外国に嫁がれることが、一昨日、決まりました」 「そう」  これにより、先程クレアが受け取った親書の内容には、さっそく変更が生じてしまっていた。  アンディ王女は、グスタフ皇太子の第二子である。グスタフ皇太子の子供は、クロード王子とアンディ王女の二人だ。 「お相手は、王子と言っても本国での王位継承順位はかなり低いので、先方が婿に来てくれるように働きかけていたのですが、残念ながら…」 「失礼よ。でも、そうね。残念ね」  この結婚話しは数年前からあったので、クレアも知っていた。  カロルが一昨日の上司との電話で話していた、プリスが調達できなかった花とは、この件を暗号で話したものである。
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