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「あれ?また元のところに戻ったぞ??」  カロルは自分が運転する黒塗りの車から降りて、辺りを見回した。  ここはすでにエドバルド侯爵の屋敷の敷地の中だった。  さっき通った石造りの正面門からお屋敷までは500メートルのはずだが、地形がいりくんでいるせいで、お屋敷の姿はまだ見えてこない。  カロルは、ため息とともに、ほんの少しだけネクタイを緩めた。 「スマホは繋がらないし…。う~ん、どうしよう」  紙の地図を見ながらブツブツ言っていると、後ろから軽トラックがやってきた。侯爵家の関係者に違いない。  カロルは軽トラに向かって大きく両手を振った。 「すみませ~ん。侯爵様のお屋敷に行きたいんですが」 「お屋敷に?」  停車した軽トラから降りてきたのは、背の高い作業服姿の男性だった。年齢は20代半ばくらいで、カロルよりもやや年上だろうか。心なしか眉をしかめているように見える。 「お屋敷に何かご用ですか」 「私は国王家からの伝令で…」  男性の目が、ぎろりとカロルを見た。
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