12人が本棚に入れています
本棚に追加
皇太子とは、将来の国王である。
クレアはじっと前を見たまま動かなかった。その表情からは、何を考えているのか全く読み取れない。
どうしても嫌なら、クレアも王位を辞退することができる。
関係者の間では、代々国王家と仲が悪いエドバルト家の出身であることから、そうなる可能性が高いと推測されていた。
だが、カロルはこの3日間で、そうならないのではないかと考えるようになった。
今はショックで固まっているが、さっきまでのあの冷ややかでふてぶてしい態度は、国王の器にふさわしいかもしれない。
王宮に仕えて4年、カロルにもそういう勘が働くようになっていた。
カロルは晴れやかに微笑んだ。
「今日はこれで失礼します。次は、次期皇太子殿下としてお迎えにあがります」
その笑顔を、クレアは貫くような目で睨みつけた。
(終)
最初のコメントを投稿しよう!