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 皇太子とは、将来の国王である。  クレアはじっと前を見たまま動かなかった。その表情からは、何を考えているのか全く読み取れない。  どうしても嫌なら、クレアも王位を辞退することができる。  関係者の間では、代々国王家と仲が悪いエドバルト家の出身であることから、そうなる可能性が高いと推測されていた。  だが、カロルはこの3日間で、そうならないのではないかと考えるようになった。  今はショックで固まっているが、さっきまでのあの冷ややかでふてぶてしい態度は、国王の器にふさわしいかもしれない。  王宮に仕えて4年、カロルにもそういう勘が働くようになっていた。  カロルは晴れやかに微笑んだ。 「今日はこれで失礼します。次は、次期皇太子殿下としてお迎えにあがります」  その笑顔を、クレアは貫くような目で睨みつけた。 (終)
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