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「セキュリティの関係で、不用意に誰かをお屋敷に案内することは控えるように言われています。外部からいらっしゃるお客様には、侯爵家のほうから迎えの者を出すはずですが」
カロルはこれを聞いて慌てた。そんなことは誰も言ってなかったぞ。
「えっ、そ、そうなんですか?私は本当に王宮の職員で…」
男性はカロルとカロルが乗ってきた車をジロジロ見た。
カロルは王宮の事務職員の制服を着ていた。チャコールグレーのスーツで、襟元には王宮の紋章のピンバッジを付けている。
車は王宮御用達の仕様で、グレードがちょっと下のランクの職員用のものだが、それでも高級車の部類に入る。ナンバーも王宮所属を表す数字だ。
「私がお屋敷に行って、ご案内して良いか伺ってきましょう」
男性はそう言うと、カロルがうんと言うのも待たずに軽トラで行ってしまった。
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