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 カロルは、これを聞いてほっとした。やはり夕方まで応接室にいなければいけないのは辛かった。 「その服装は不向きですので、作業服に着替えていただきます」 「作業服に?」 「着替えは別室でお願いします。ついてきてください」  クレアはカロルを屋敷の中の、台所や洗濯室や倉庫などがあるスペースに案内した。  玄関ホールや応接室のきらびやかさとは打って変わって、白い壁とグレーの床の簡素な空間である。  お屋敷で働いている人達のためのロッカールームの前で、ジョフが待っていた。作業服と靴のサイズを教えて欲しいと言う。 「すみません。電話をお借りしたいんですが」  カロルがそう言うと、台所の向かいの事務室らしい部屋に案内された。パソコンが乗っている机が二台あるだけの、小さな部屋だ。 「お電話が済みましたら、先程のロッカールームに来てください」  ジョフがそう言って、部屋の扉を閉めた。クレアはどこかに行ってしまったらしい。  カロルは自分の上司に電話をかけた。
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