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3. Wednesday
「行ってらっしゃい、今日も遅いの?」
何気に口に出る。
特別心配しているわけでもなく、何かを期待しているわけでもないのに…。
「はぁ…」
この辺りから、満員電車が不快になる。
混んだ車内で器用に新聞を読む匂い。
耳から漏れてくる色んな音楽。
邪魔なリュック。
お昼のチャイムが鳴る頃。
「あ〜やっと半分かぁ〜」
伸びをしながら、つい漏れる独り言。
「今週はなんか長いわ〜」
「まだ水曜かぁ…」
自然に合わせてくる、独り言仲間もいる。
(みんなおんなじよね)
そう自分で納得する。
「…お疲れ様でした」
少し心なしか、気がひける。
「お疲れ〜ハァ」
返してくれる挨拶にオマケが付くこともある。
電車の中は空いている。
私は夕飯の献立を、明日の分まで考える。
「おかえりママ」
「ただいま、愛」
「今日はどうだった?」
この頃になると、なんか聞きたくなる。
たいてい特別なことはない。
「そう、よかったね〜」
くらいな、軽い娘とのコミュニケーション。
買い物をして帰る。
「今日も遅かったね、ご苦労様」
特別心配している訳ではないが、労う。
「最近また忙しそうね」
軽い夫とのコミュニケーション。
(たまには、私のことも…)
と思うが、あえてそう気にはしない。
こうして水曜日が終わる。
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