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「いえ、あの、その、決して、天に誓って、変なつもりではなく、純粋に、もう少し話したいなと……お茶とか、お茶とか飲んで、狭い家なんですけど、本当に変な意味はなくて」
「分かってます、大丈夫ですよ」
――ああああもう苦笑されてんじゃないのよォ! 犯行がバレた容疑者みたいにしどろもどろで言い訳して墓穴掘ってるみたいで恥ずかしいーッ! 穴はどこー!
「では、おやすみなさい!」
「明日からまた頑張ってください。同伴についてはまた、お伝えします」
「はい! 工藤さんも帰り道お気をつけて!」
寿里が家に入らないと彼は走り出せないので最後にもう一度深くお辞儀をし、大股で歩き階段を登る。部屋に入ってひとりになった瞬間に、靴のまま膝からくずおれた。あまりの恥ずかしさに両手で顔を覆う。
「はぁ……もうーーっ!」
――めちゃくちゃ恥ずかしい。なんでもっとスマートにできないの? なんで余計なことを言ってしまうの? 時間が経っても皮膚の下では心臓が速く脈打っていておさまらない。
――それにしても……。
悪いコトって、一体なんなんですか? 工藤さん。
私は悪いコト……少しだけ、知りたい気もします。
もしも教えて欲しいって言ったら、教えてくれるのでしょうか?
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