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翌週の休憩中、寿里がトイレで用を足していると女子トークに遭遇する。
「ねぇ聞いて! ニュース!」
女子トイレでは大なり小なり女子トークが発生するものだが、今日はその話題が……。
「社長室の工藤さんが、土曜日お台場でデートしてた!」
――ぶーーー!
寿里の体はぎくっと跳ねる。お台場なんて場所柄、どこに誰がいてもおかしくはないので目撃されてもなんら不思議ではないが。
「えー。どんな女?」
「背高めのチャイボーグ系美女? 小さいハイブラのバッグ持ってアフターヌーンティー行ってそーな金のかかりそうな女」
「ふーん。結局男ってそーゆー系の女が好きなんだね」
「なんでみんなあーゆーカッコなの? ハンコ絵みたいじゃね?」
ハンコ絵など揶揄されても『銀座でウケる容姿の黄金型』というのがあるのだ。スリム体型で髪の毛は大人っぽいロング。寿里も髪を切ろうとしたら真希に止められたものだ。
それよりも寿里は客観的に見た自分が『金がかかりそうな女』に見えていたことに感動していた。少しずつ銀座の女になっているようだ。
「お台場ってガチのデートコースだよね」
「しかも土曜日って。ヒルトンとかに泊まったのかなぁ」
「あーあ。高嶺の花はやっぱり人のものかぁ……」
まだまだ続きそうだったが聞いていられず、誰にも聞こえていなさそうな小声で挨拶をしてひっそりとトイレを出ていく。
そのチャイボーグがフルメイク武装をした自分だとはバレていないよねとハラハラしていたが、席に戻ると上司からの呼び出しのチャットがきていて一気に意識が持っていかれた。
【本日17:00から30階南Aにてミーティングお願いします】
――これはまさか……派遣切り? いやでも正社員登用への話もいただいていたし……なんの話?
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