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博士の痕跡
食事中、助手は一言も話さなかった。
しかしさすがに、食事が終わってから数十分、ずっと黙っているのが耐えられなくなった。
もっとも一番の理由は、博士の『挙動不審な動き』が気になってしかたがなかった。時々上を向いたと思えば、下を向き、考え込んでるように右に左に首をかしげる。しかも一言も話さずに・・・、そんな動作ばかり繰り返されえていると さすがに気になった。
助手は、 博士にいった。 「博士そろそろお話ししてもよろしいでしょうか 」博士は、はっと 頭を上げていった。
「悪い悪いそうだね、さすがにもう黙っているのは辛いね、怒っていたわけじゃあないんだ」
「ただ今回の受賞式で本当に次回の発明品のことを発表していいものかどうか考えていて、君に少しだけ静かにしてほしいと思っただけだから」
「実は発表会場に行く途中に、家に寄って見て欲しいものがある」
「次回発表する、『発明品』を見て君はどう思うか、意見を聞きたいんだ」 助手は驚いていった。
「博士!もう次の発明品を完成させていらっしゃるんですか!」
「ああ・・・ただ今回の受賞式に、発表していいものかどうか、君の意見をききたいんだ」
「光栄です、博士に世間に未発表の発明品みせて頂き・・・それも・・・」
博士は、目の前の『ティッシュケース』を助手に渡した。
「私の家族が自動車事故のあったこと覚えているかな」
「はい。奥様が運転されていて・・・同乗されていたお子様も・・・」
助手は、『ティッシュケース』から大量に紙を引き出しながらいった。
「博士は『完全自動運転の発明』、そして今では空を飛んでいる」
「今回の発明品は、奥様が大変望んでいらしたものでしたね」
「ああ・・そうだったね、そして『移動式温度管理空気清浄可能全身シールド』は世界を震撼させたウイルスで亡くなった、父のような人々を出さない為だった・・・」
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