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お見合いなんてしないんだけど…!
「おはよ、勇さん。
ご飯置いておくね」
月曜日の朝
一通りの家事をこなした後、仕事に行く前にまだベッドで寝てる彼に一声かけた。
「んん…あぁ…
サンキューな…」
夜間のトラック運送をしている彼は、朝はまだまだ真夜中と同じなのだ。
寝ぼけ眼で私に手を振る彼にチュウをすると、私は玄関を出て仕事に向かった。
「うん、行ってきます」
ローファーを弾ませて向かう職場は、アパートからまっすぐの道を10分歩いた先の小さな本屋さん。
決して都会ではないこの町も、越してから最初は不自由したけど住めば都。
銀行もスーパーもコンビニも病院も公園も、それなりにみんなあって、とても住み心地がいいの。
開店の準備を担当している私は、店長さんから預かっている鍵を使って裏口を開ける。
スタッフルームのロッカーに荷物を置いてエプロンをかけると次に開店の準備をし、お店の照明スイッチをパチンとつけた。
シャッターをあけてグルッと店内を見回すと、準備はOK。
ほら、早くも最初のお客さんがこっちに向かって来てる。
「いらっしゃいませー」
開店時間9時
すぐ隣の大きな銀行と並んでいるこの本屋さんが、私の職場なのだ。
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