お見合いなんてしないんだけど…!

1/10
236人が本棚に入れています
本棚に追加
/382ページ

お見合いなんてしないんだけど…!

「おはよ、(ゆう)さん。 ご飯置いておくね」 月曜日の朝 一通りの家事をこなした後、仕事に行く前にまだベッドで寝てる彼に一声かけた。 「んん…あぁ… サンキューな…」 夜間のトラック運送をしている彼は、朝はまだまだ真夜中と同じなのだ。 寝ぼけ眼で私に手を振る彼にチュウをすると、私は玄関を出て仕事に向かった。 「うん、行ってきます」 ローファーを弾ませて向かう職場は、アパートからまっすぐの道を10分歩いた先の小さな本屋さん。 決して都会ではないこの町も、越してから最初は不自由したけど住めば都。 銀行もスーパーもコンビニも病院も公園も、それなりにみんなあって、とても住み心地がいいの。 開店の準備を担当している私は、店長さんから預かっている鍵を使って裏口を開ける。 スタッフルームのロッカーに荷物を置いてエプロンをかけると次に開店の準備をし、お店の照明スイッチをパチンとつけた。 シャッターをあけてグルッと店内を見回すと、準備はOK。 ほら、早くも最初のお客さんがこっちに向かって来てる。 「いらっしゃいませー」 開店時間9時 すぐ隣の大きな銀行と並んでいるこの本屋さんが、私の職場なのだ。
/382ページ

最初のコメントを投稿しよう!