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「ふふッハハ」
なーんて、笑いがこみ上げる。
やっと死んでくれたね。
わざわざ闇サイトで依頼した甲斐があった。
だって先に約束を破ったの、君だもの。
ずっと一緒にいるって。幸せにするって言ってくれたのに。
愛してるって言ってくれたのに。
約束を破る君が悪いんだ。
嘘をつく君が悪いんだ。
裏切る君が悪いんだ。
ずっと信じてここまできたのに。
生まれ変わる前からずーっと。
私は君に会うために長い長い旅をしてきたのに。
本人は覚えてないし、他の人を好きになるし。
そんな約束破り、許さない。
あの日、君は言ってくれた。
パーティー会場からこっそり抜け出して、二人きりで庭園で踊ったあの日。
美しかったあの日々、あの国、あの景色。
ぼんやりと浮かぶ満月の日に、私の瞳と同じだと笑って、君は誓ってくれた。
『愛してる。俺はこれからも永遠にお前しか愛せないし、愛さない』
『必ずお前を幸せにする。ずっと一緒にいる。お前がもう二度と泣かないでいいように、辛い思いをしないように』
そう君が誓ってくれたことを、私は忘れない。
私は今も昔も想いは変わらないよ。
私は嘘はつかない、嘘つきな君と違ってね。
でも大丈夫。
だって次があるから。
今世ではだめだったけど、もしかしたら次は大丈夫かもしれない。
私のことを思い出して、私のことまた前みたいに好きになってくれるかも。
思い出さなくても、私をまた好きになってくれるかも。
今回はもう出会った時点であの子を好きになってた。もう手遅れだった。
そんな君は知らない。
他の人を一時でも愛した、君なんて知らない。
私だけを好きな、君しか知らない、いらない。
だから次のときのために私は布石をうった。
こんな回りくどいことをしたのには理由がある。
だってもし思い出したのが前世じゃなくて、この世の記憶だったら?
もしあの子に告白した時点で殺してしまっていたら、あの人の記憶には私は殺人者としての記憶が残って嫌われてしまう。
だったら好きにさせて、そこで死んでもらった方が、もしものために困らないじゃないか。
それに今世の記憶がもし残っていたら、きっと私をまた好きになってもらいやすくなる。あの人には生きてる間、私だけを好きになってもらわなくちゃ。
だからそのためにあの子が邪魔だった。だから闇サイトで依頼をして殺してもらったのだ。
あの人に協力したのだって、私の存在を特別にするため。好きな人のために想いを犠牲にした友達。そう印象付けるためだ。
そしたらあの子が死んだあと、きっと私のつけ入る隙ができると確信していた。私を好きになってくれた後に死んでくれないと、この計画は破綻してしまうからだ。
でも他の人を好きになった君は許せないけど、好きなんて言われてしまうとやはり恥ずかしいもので、思わず動揺してしまったのがよくなかった。次はもっとうまくやらないと。
ああ、次が楽しみだ。
私は、台所に行って先ほどまであの人のためにと野菜を切っていた包丁を手に取った。
それを、ゆっくり首にあてる
私だけを好きでいて、他の人を一瞬でも愛したりしないで。
私にはあの人だけなの。
あの人のそばでしか幸せを知らないの。
必要ないと言われ続け、役立たずと言われ続け、ひどい折檻を受け続け、ボロボロだった傷だらけの私を、価値のない私を、誰かに想われることもない私を
私を辛い境遇から救ってくれた私のヒーロー
あなたが私を愛してると言ってくれたから、私に価値が生まれた。
叶うはずのない想いだったのに、あなたも同じ想いだと知って嬉しかった。
だから、何度でも会いに行く。
あなたが目の前で死んでからずっと後悔してた。
ずっと後悔してるの。あなたを守れなかったこと。もっと多くの言葉を交わらせたかったのに。
だから――……
「あなたを永遠に愛してます。だから、今度は約束、守ってね」
その瞬間、床一面に鮮血が広がる。
後日見つかった彼女の死体は、笑っていた。
永遠の愛に微笑む
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