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七年後
「は? あいつが?」
それは突然だった。
あの子と付き合って、そしてそのまま卒業して大学も一緒に通って、大学卒業と同時にそのまま結婚した。仕事も始まるから、お互い仕事場から近い場所で、一緒に住む場所も決めていて、それでこれからってときだったのに。
「死んだ?」
本当に突然だった。
あの子が、事故で死んだ。
信号無視の車に引かれたらしい。ひき逃げだった。
犯人はまだ捕まっていない。
けれど、そんなことは今はどうでもよくて。
死んだ? あの子が?
これから結婚生活が始まるんだって恥ずかしそうに、けど喜んでいて、初めての仕事だからって新調したスーツも買って、緊張するってよく騒いでて、結婚式がしたいって言って式場を探してて、ドレスはあれがいい、これがいいって悩んでで、
それで、それで――……
それで、それで、それで、それで――……
死んだと報告してきた警察が何か色々話してた気がするが、覚えていない。
あの子がいなくなったことの事実が、信じられなかった。
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