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ある喫茶店のお客さん
午後8時、ワタシはウサギの“マウ”とともに喫茶店【セイラム】に来ていた。
マウはワタシの大切な友達。
ウサギなのに、紋章と呼ばれる魔力を体の中に埋め込む技術のおかげで、二足歩行で歩いたりおしゃべりすることができる。
この紋章の技術は、今は人々の間に普及している。
ワタシのお母さまも体に紋章を埋め込んでいるし、もちろん、ワタシだって埋め込んでいる。
この紋章に触れることで、それぞれの紋章の効果を発動することができるのだ。
メニュー表をマウと一緒に眺めて、マウが店長さんに注文してくれた。
待っている間、マウは「今のうちに“フジマル”さんに連絡しておいたら?」と言ってくれた。よく考えてみると、確かにいい案。自動車がパンクしちゃたから、迎えに来てくれたら助かる。
“フジマル”さんはお母さまの親戚で、この鳥羽差市で探偵事務所を構えている。ワタシたちはそこの助手として働くことになっていて、お母さまからは、困ったことがあったらフジマルさんに連絡しなさいと、言われていた。
左手の大きな手のひらを見ると、緑色に光る紋章があった。形は縦方向に長い長方形……スマートフォンの形をしているんだっけ。その紋章を右手の人差し指で触れると青色に変わり、そこからスマホの形をした半透明のモニターが浮かび上がった。
モニターをスライドして、SNSのアプリを開く。そして、フジマルさん宛に車のパンクのことと喫茶店【セイラム】にいることをメッセージとして書き込み、送信した。返事はすぐに帰ってこなかったけど、後で連絡が帰ってくるよね。
そのころ、イイにおいがしてきた。
・マウの顔を見る
【https://estar.jp/novels/25875424/viewer?page=1】
やがてワタシの前に出てきたのは、カレーライス……のはずだけど、なにか違う。ルーの色が少し濃い、それに具材の大きさも違う……なにより、チーズが乗ってない……
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