プロローグ

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プロローグ

真っ黒で巨大な影が幾重にも積まれ、びりりっと無惨にも洋服の破れる音がやけに耳に残った。 荒い呼吸と重たい身体は、それだけで私を萎縮させる。 ーーーーもう終わりだわ。 そう、諦めた時だった。 彼が私の前に現れたのだ。 力強い腕力で私にのしかかっていた獣たちを薙ぎ倒すと、絶望していた私の身体を最も容易く抱き上げた。 琥珀色の瞳が怪しく煌めき、深い蒼に染まる長髪が夜空に舞った。 悪夢が終わらないままに、私は彼に連れられて夜の街を逃げる。 どこまでもどこまでも、男たちの影は私たちを追いかけてきた。 だから、鳥籠に入ったのだ。 それがどれほど愚かな行為であったのか、今の私ならよく分かる。 鳥籠は私を守ってくれるシェルターであり、同時に私を閉じ込める牢獄でもあった。 琥珀色の瞳が私を捉えて離さない。 逃げる術は、既に無かったーーーー。
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