コクチュウセキチク

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 母さんはぼくをぎゅっと抱きしめて、ぼくが居なくなってどれだけ心配したかを延々と語っていたが、ぼくがお土産の竹炭をあげると涙を拭いて大変喜んでくれた。  ミトにいつか月へ遊びに行くと約束していたけど、しばらくは母さんのそばから離れられそうにもないな。また宇宙船を借りるお金もないし。  でもまあ、また使者が迎えにくるって言ってたから、もし大丈夫だったら母さんも連れて、月への旅行を楽しみたいな。  そう独り言をつぶやくと、ちょうど赤くなった竹炭がパチンと鳴ったんだ。彼女の返事が遠くから聞こえる気がした。 おしまい
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