コクチュウセキチク

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 太陽の他光の素の見当たらないこの世界に、ぼくがたどり着いてからどのくらい時間が経っただろう。  あのときはいきなり真っ暗になったもんだから、おろおろと動揺しているうちにもう舟の場所も分からなくなってしまった。  手探りで周りに何かないか見つけようとしたけれど、そういえばこの世界にたどり着いたとき、あまりにも閑散とした地上で不安に思ったんだっけ。  真っ暗な昼が通り過ぎても、真っ暗な夜がやってくる。光源のない世界で唯一の頼りは宇宙服のメーターの表示。  各惑星の標準時間の記載に気温と湿度、酸素・二酸化炭素・窒素濃度の表示が着いていた。一酸化炭素や二酸化硫黄の上昇を知らせるエマージェンシーランプも備わっているが、まだ点滅はしていない。空気組成は人間に適したものだと思い、この星の状況をしっかりと調べもせずに降りてしまったことを今更ながら後悔した。  
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