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舟からライトを持ってくればよかったなあ。マッチかライターか、せめて火種になりそうなものでも持ってきていれば、まだこの世界でサバイバルを続行できたかもしれない。
一酸化炭素の危険信号を伝えるエマージェンシーコールが鳴り出したのは二時間前。ぼくは赤い点滅する光を放っていた。皮肉にもその危険信号は、電池残量をどんどんと減らしていった。ぼくは止まれ、と叫んでみたがどうしようもなく、もうすべてを諦めかけたそのときだった。
目の前に青白く光る少女が突然現れたんだ。
少女はとても眠そうにまぶたをこすりながら、ぼくに話しかけてきた。
「もう、せっかく気持ちよく眠っていたのに。起こさないでよ。」
幻覚かと思った。もしくは死後の世界に紛れ込んでしまったのかと。だって彼女は、宇宙服をつけていず、パジャマ姿で現れたのだから。
「ふわあ。あ、もしかしてあなたわたしを迎えに来てくれたの?」
「え? どういうこと?」
ぼくがあぜんとしていると、彼女は少し怒ったような口調でぼくにこう言う。
「なんだ、やっぱりお迎えじゃないのね。じゃあもうちょっと寝かせてよ。」
彼女はいつのまにか手にまくらを持っていて、それからこれまた一瞬で現れた布団に寝転がった。
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