コクチュウセキチク

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「こちらCDVS-2529-1。現在火星からの迷い子を保護している。ただちに帰還の準備を要請する。ああ、了解。こちらは任務完了している。同時にデータも引き渡す用意をしていく。ああ、了解。」 「大丈夫かな?」 「ああ、セイカ。大丈夫。今火星にいる仲間との連絡が取れたから。無事に迎えが来るって。」  迎えが来るまでの間、彼女の寝顔をゆっくり眺めたり、この星の少ない日照時間を彼女といっしょにのんびり楽しんだりした。彼女は囲炉裏の一酸化炭素中毒さえ気をつければ、この部屋は人間にとって快適な環境だと言ったので、宇宙服を恐る恐る取ったが、たしかに空気はきれいで、竹独特のスッキリとした匂いを思う存分堪能できた。
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