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クリームシチューを口に運びながらちらっとマイルに目をやった。
にこにこ笑いながらスプーンに口を付けるマイル。
玉ねぎ、人参、じゃがいも、ブロッコリー、豚肉……綺麗な彩りと真っ白なシチュー。
俺の皿は玉ねぎとじゃがいもと肉……色合いがいいとは言えない。
だが、それは俺がかなりの偏食だからだ。
それでもカラフルな食器を使って見た目も気にされている。
基本、野菜が嫌いだとか、見た目を気にするとか……そんなことを言ったことはないのにマイルは常に俺の快適な環境を作り出す。
さっさと食べ終えて窓から外を眺めた。
人間が眠れば辺りも暗くなるため、周りの家も明かりが消えればそんなに見えなくなる。
パッと見、起きている家なんてない。
そりゃそうだ。
貴重な自由時間。
まぁ、俺たちは眠らなくたって特に支障はないのだが、多くのやつらが眠りを選択する時間だから。
ぼーっと窓枠に肘を付いて空を眺める。
キラキラ輝く星も今日はわずかに欠けている月も……心地いい風が周りの木々を撫でるくらいの穏やかな時間。
それなのにこの胸の内には説明もできない謎のイライラがある。
何にイラつくんだ?
今、不満も不快も感じるできごとなんてないのに……。
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