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ふわっと鼻がわずかに花のような匂いをキャッチして振り返る。
「あ、ごめんね。邪魔しちゃった?」
そこには微笑んでいるマイルが居た。
舌打ちをすると、マイルはサイドテーブルを運んできてそこにカチャンとティーセットを置く。
透明なガラスのポットには花びららしきものが浮いていた。
真っ白なマイルの手がそのポットを持って傾けると、淡く赤みがかかったお茶がゆっくりと注がれていく。
「リラックスできるブレンドティーみたいなんだ!はい!アンク!」
俺の態度なんて気にしていないのか、マイルは笑顔で俺にカップを差し出した。
やはりしっかり飲み頃なくらいに冷ましてあるお茶。
口に含むとふんわりと口の中にも花の香りが広がった。
「ふんっ」
鼻を鳴らしてお茶を飲み干すとそのまま立ち上がる。
「おやすみ!アンク!」
マイルの明るい声を聞きながら俺は部屋のドアを開けた。
勢いよくドアを閉めてベッドにダイブする。
素直にお礼とか……言えない自分に本当、腹が立って俺はそのまま布団に潜り込んだ。
あいつは……こんな俺を見限ったりしないのか?
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