やめろ!

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「いいよなぁ。感情の記録っつってもこっちに来るのってマジでドス黒くて汚ねぇのばっかなのにあっちはよ」  舌打ちするエンビーを睨むと、エンビーは笑いながら近づいてきた。 「アンクは?ムカつかねぇの?あんなマイルと一緒だとさぁ?何、こいつ?とかならねぇ?つか、お前はいっつもイラついてんだからそんなの……」  俺の目の前まで来たところで思いっきり顎を掴んでやると、エンビーはやっと黙る。 「お前と違って忙しいんだよ」  それだけ言って離すと、駆け寄ってきたサッドとエンビーは元の場所へ戻って行った。 「サッド。お前の仕事も溜まってる。余計なことしてんなよ」  目も向けずに手だけを動かして指示すると、サッドはペコリと頭を下げてパタパタと持ち場に戻る。  この負の感情エリアはたぶん仕事が少ない方が人間は幸せなのかもしれない。  特にエンビーのような“妬み”はないならそれに越したことはないのだろう。  俺は手を止められたイラつき以上に何かモヤモヤしていた。  頭に浮かぶマイルの笑顔。  それを真っ黒に汚されたようで舌打ちをしながら目の前の感情を手に取ると一度戻して俺は自分の赤い短髪を掻きむしった。  イラつく。  わざわざマイルをイジってきたエンビーにも。イライラを抑えられない自分にも。
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