神からの使い

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 ボルサックは小さな町の教会にに努める聖職者である。  教団の活動に非常に熱心で、神への信仰心も一際強い男だった。  毎日の祈りは当然欠かさず、布教や奉仕活動にも積極的。  いつも笑顔で人当たりが良く、町でも評判の男だった。  それだけ熱心であるにもかかわらず、神の声などは聞いた事は無く、もちろん奇跡なども起こしたことは無かった。 「奇跡を起こすことが目的ではありませんから」  憐みの目を向ける人々に対して、人当たりの良い笑顔を浮かべながらそう言うのが常だった。  それは決して負け惜しみではなく、彼の本心だった。
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