魔法使いになりそこなったお話

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既に心と身体は彼を受け入れているのに頭まで働かなくなってしまったら、もう抵抗することは出来ない。それが分かったのか、彼は唇を離して腕の力を緩め、ぼうっと横になったままの僕の服を脱がし始める。 そして、全てを脱がし終わると彼は再び唇を合わせ、今度は優しく舌を動かしながらその手で僕の身体を余すところなく撫でていく。 唯一の理性は失われ、心と身体は柔軟に彼を受け入れる。 覚えていないはずのその行為に、身体は次の快感を期待して熱くなり始める。 下肢は痛いくらいに昂ってその先端から透明な液を流し、後孔は自ら中を潤わせる。なのに一向に欲しい所を触ってくれない。 もどかしい手の動きに身体が疼いて腰が揺れる。それを見て彼は後孔に指を伸ばすも、その周りを何度も押しながら這わせていくだけで中に挿入って来てはくれない。 いつの間にか唇を離れた彼の口は胸を食み、先端に舌を這わせる。するとそのちりちりと言う刺激がさらに下肢に響き、早く触って欲しいと切なげにひくつく。 「は・・・ぁ・・・っ・・・」 塞ぐものが無くなった口からは、もの欲しげな吐息が漏れる。 誰かと交わった記憶はないというのに、何故こんなに欲しいのか・・・。 彼の香りと全身に感じる彼の熱が、僕の身体に刻まれている。だけどやっぱり記憶は戻らない。 覚えていない僕にとっていま行われていることは全て初めての事なのに、身体がはしたなく彼を求めてしまうことに戸惑ってしまう。 だけど、それを恥ずかしいと思う理性はとっくに失われ、僕は彼が欲しくて堪らない。そんな僕に彼は意地悪く訊く。 「どうして欲しいですか?」 ちゅっと胸を一度吸うと、吉沢くんは顔を上げて耳の中に舌を入れた。 「あぁ・・・ぁん・・・」 ぐちゅぐちゅと耳を犯されて、背筋がゾクゾクする。 「挿・・・れて・・・欲しい」 どこに、とも、なにを、とも言えなかったけれど、その言葉に満足したのか、吉沢くんが笑ったのがその吐息で分かる。なのに、彼の手は欲しい方ではなく、前の昂りを握った。 「でもこちらの方が先ですね」 彼の手が溢れ出たぬめりを広げるように扱き始める。 「や・・・あっ・・・だめ・・・っ・・・出ちゃ・・・う・・・んっ」 二回扱かれただけでそこは爆ぜてしまった。 勢いよく放たれた迸りは彼の手の中に受け止められ、さらにそれも広げるように手を動かす。 イったばかりのそこは敏感で思わずその手を握るけれど、その手は止まらない。 「離・・・して・・・も・・・イった・・・か・・・ら・・・」 彼の手を止めたいのに、身体が震えて上手く手に力が入らない。ただ添えるだけになってしまった僕の手は、まるで一緒に自身を扱いているような錯覚に陥る。
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